5分でマスター!分子の沸点の違い(共通テスト対策)

大学受験

定期テストや、模試、共通テストで頻出の分子の沸点に関する正誤問題についてまとめました。

化学が苦手な方、5分で模試の点数を5点upさせてみせます!!

早速ですが、下に示すセンター試験の問題が解けますか?

分子間に働く力に関する記述として下線部に誤りを含むものを、次の①~④のうちから一つ選べ

① Neの沸点はArよりも低い。これは、NeとNeの間のファンデルワールス力が、ArとArの間のよりも強いためである。

② H2Sの沸点は同程度の分子量を持つF2よりも高い。これは、H2Sは極性分子であり、H2S分子間に静電気的な引力がはたらくためである。

③ 氷の密度は液体の水よりも小さい。これは、水素結合によりH2O分子が規則的に配列することで、氷の結晶が隙間の多い構造になるためである。

④ HFの沸点はHBrよりも高い。これはHF分子間に水素結合が形成されるためである。

H31 センター試験(化学)

何の問題もなく解けた方は、沸点に関する知識はばっちりです!!

別の問題をどんどん解いていってください!

解けなかった方、大丈夫です!

今からの説明を見ていただければすぐにわかるようになります!

それでは行きましょう。

沸点は分子同士のくっつきやすさで決まる

沸点は液体から気体になる温度を表します。

液体の状態は分子同士がくっついていますから、気体になるためには当然それらを引きはがさなければなりません。

すなわち分子同士がくっつきやすいほど、液体になりやすい(=気体になりにくくなる)ため沸点が高くなります。

ではくっつきやすさはどうやって決まるのでしょうか。

以下にくっつきやすさの因子を3つだけ示します!

ファンデルワールス力 < 双極子相互作用< 水素結合

分子間に働く力にはファンデルワールス力、双極子相互作用、水素結合の3つがあります。

イメージとして、ファンデルワールス力は様々な分子に対して働くがその力は弱く、対照的に水素結合は限られた分子にのみ働く強い力といった感じです。

詳細を以下に示します。

ファンデルワールス力

ファンデルワールス力とはすべての分子に働く、弱い引力をさします。

この力はより大きな分子ほど強く働くことが知られています。

例えば、水素分子と酸素分子では酸素分子のほうが大きいため、ファンデルワールス力がより強く働き、結果として沸点が高くなるといった具合です。

ですので問題を解くうえで周期表を覚えておく必要があります。

すいへーりーべーぼくのふねー

双極子相互作用

ファンデルワールス力とはすべての分子に働く弱い力でした。

一方で双極子相互作用とは分子の中でも極性分子に対してのみ働く力です。

例えば以下に示すHCl(塩化水素)は、Cl原子の電気陰性度がH原子よりも大きいため、Cl原子がδ-(若干マイナスの電荷を帯びる)となり、図のような引力が働くようになります。

そのため、与えられた分子が無極性なのか極性なのかを区別できるようになる必要がありますね。

  • 水素結合(一番強い)

極性分子の中でも電気陰性度の大きいN,O,Fを持つ分子は、水素原子と結合を作ると以下のように分子間で水素結合を形成します。

電気陰性度が大きい、すなわち電荷の偏りがより大きくなるため、双極子相互作用よりもより強い引力が分子間に働くようになります。

とにもかくにも電気陰性度の大きな原子(N,O,F)を含む、NH3とH2O、HFは水素結合を作る分子として頻出するため、必ず覚えましょう。

まとめますと

  • 全ての分子に働くファンデルワールス力は、大きな分子ほど強く働く
  • 極性分子は分子間で電荷の偏りが生じるため、ファンデルワールス力よりも強い双極子相互作用が働く
  • 極性分子の中でも、電気陰性度の大きな原子(N,O,F)をもつ分子はより大きな電荷の偏りが生じ、水素結合と呼ばれるより強い引力が働く

ではもう一度冒頭の問題を見てみましょう。

分子間に働く力に関する記述として下線部に誤りを含むものを、次の①~④のうちから一つ選べ

① Neの沸点はArよりも低い。これは、NeとNeの間のファンデルワールス力が、ArとArの間のよりも強いためである。

② H2Sの沸点は同程度の分子量を持つF2よりも高い。これは、H2Sは極性分子であり、H2S分子間に静電気的な引力がはたらくためである。

③ 氷の密度は液体の水よりも小さい。これは、水素結合によりH2O分子が規則的に配列することで、氷の結晶が隙間の多い構造になるためである。

④ HFの沸点はHBrよりも高い。これはHF分子間に水素結合が形成されるためである。

H31 センター試験(化学)

①のNeとArは無極性分子ですのでファンデルワールス力の大きさを比べればよいのでした。

ファンデルワールス力は大きい分子ほど強く働くため、NeよりもArのほうがファンデルワールス力は強いはずです。

よって間違いであることが分かります。

②のH2SとF2は前者が極性分子であることを押さえておきましょう。

極性分子には双極子相互作用(=静電気的な引力)が働くため、H2SのほうがF2よりもより強い引力が働くはずです。

よって正しいことが分かります。

③は今回の内容ではないため割愛します。

④のHFとHBrはどちらも極性分子であるため、同様に双極子相互作用が働きますが、HFはより強い引力が働く水素結合が形成されるのでした。

つまりHFのほうがより強い引力が働き、沸点が高くなるはずです。

よって正しいことが分かります。

まとめ

いかがだったでしょうか。

分子間に働く力を確実におさえることで、沸点の違いを答える問題に難なく回答できるようなるかと思います。

また、その根幹となる極性、非極性分子の見極めも重要です。

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