化学基礎の一番最初に出てくる化学の基本法則を化学史に沿ってまとめました。
何かを覚えるときはただそれを漠然と覚えるよりも意義を理解することで少し手間ではありますが、記憶の定着が促進されます。
この記事では化学史に沿って化学の基本法則を理解することで、その法則の発見の意義と法則と法則のつながりを理解し、記憶に残りやすいようにしました。それではいきましょう。
化学の基本法則
- 質量保存の法則 (1774年)
- 定比例の法則 (1799年)
- ドルトンの原子説 (1803年)
- 倍数比例の法則 (1803年)
- 気体反応の法則 (1808年)
- アボガドロの分子説 (1811年)
たくさんありますがそれぞれのつながりと意義を理解して体系的に覚えることで理解しやすくなりますよ。
タイムスリップした気分で水分子とか今持っている知識をすべて捨てて読んでみてください。
質量保存の法則 (1774年)
ラボアジエが発見した法則で、
反応前後で物質の総質量は変化しない。
といった法則です。
1774年までで元素(炭素、水素、酸素、、、、)の存在は確認されていましたが、詳細についてはほとんどわかっていませんでした(炭素を燃やすと黒いものができる程度)。
このように元素の存在は燃した際の色の変化の違いや、温度などによって定義されていました。
化学反応も反応前後の色の変化など目に見える違いで考察が行われてきました。しかし、ラボアジエは反応前後の質量変化に着目することで質量保存の法則を発見しました。
この法則は名前の通り過ぎて化学を学び始めたときの私もすぐに覚えられたことを記憶しています(笑)
定比例の法則(1799年)
プルーストが発見した法則で
ある化合物を構成する成分元素の質量比は、その製法の如何を問わず常に一定である。
といった法則です。
んー、難しく書きすぎ。
つまり、呼吸で吐いた二酸化炭素も炭素を燃やしてできた二酸化炭素も炭素と酸素の比が同じだよってことです。
そりゃ現代の化学からすれば同じ二酸化炭素なんだから同じものに決まってるだろってなります。
ここで二酸化炭素の炭素と酸素の質量比は3:8です。1:2ではありませんよ。モル比ではなく、炭素と酸素の質量の比ですから。そもそもこの時代にモルなんて概念ありません。
1799年までに質量保存則と定比例の法則が発見されました。この二つの法則によって化学が進展します。
ドルトンの原子説 (1803年)
この二つの法則によってドルトンは
物質は全部原子でできてるんじゃね
って考えました。
ドルトンが唱えた原子説は
- すべての物質は、それ以上分割できない微粒子からなる。この微粒子を原子と呼ぶ。
- 各元素に対応する原子が存在し、同種の原子はみな同じ大きさ、質量、性質をもつ。
- 化合物は、2種類以上の原子が一定の割合で結合した複合原子からできている。
- 化学変化では、原子と原子の結合の仕方が変わるだけで、原子自身が新たに生成したり、消滅したりすることはない。
というものです。
いっぱいあって何言ってるかわからなくなりそうですが、
つまり原子というのはすごく小さい微粒子で元素ごとに大きさや質量、性質が異なりますよってことです。
そして原子は組み合わさって化合物になるよってことです。
現在の化学で考えると当たり前のことですね。
そして、前二つの法則から導き出した原子説を用いると以下の法則も成り立つのではないかと考えました。
倍数比例の法則
倍数比例の法則とは
2種の元素A,Bが化合して、いくつかの異なる化合物をつくるとき、一定質量のAと化合するBの質量の間には、簡単な整数比が成り立つ
というものです。
また、何言ってるかわかりませんが、要するに一酸化炭素と二酸化炭素は炭素に対して酸素が化合する量が異なり、これが1:2になるようなことです。
定比例の法則とこんがらがりますが、定比例の法則は二酸化炭素中の炭素と酸素の質量比で、倍数比例の法則は一酸化炭素と二酸化炭素中の酸素原子の含有比です。
気体反応の法則 (1808年)
ゲーリュサックが発見した法則で、
気体同士の反応では、反応に関係する気体の体積の間には、同温・同圧のもとでは、簡単な整数比が成り立つ。
というものです。
つまり、水素と酸素が反応して水蒸気が生じるとき、水素と酸素の体積比は2:1になるといった現象の事です。
これまでの化学は炭素と酸素のように片方が固体で、もう片方が気体の反応でした。
それは固体は目に見えるため反応が起こったかどうかを質量変化で調べることができるため、実験がしやすかったためです。
そのため、気体同士の反応法則である気体反応の法則は遅れて発見されました。
そして、この発見によってまた、化学が進展します。
というのも、気体反応の法則はドルトンの原子説に合わなかったためです。水素と酸素の反応で水蒸気が発生する際の気体の体積比は実験から2:1:2ということが分かっています。
これを原子として考えてみると
水素原子2個と酸素原子1個から水蒸気原子を2個作ると酸素原子を分割しなければならず、原子はそれ以上分割できないのでドルトンの原子説に矛盾します。
原子を分割しない方法を考えると水蒸気原子が1個になり、実験の結果と矛盾します。
そこで、アボガドロは新たな説を唱えました。
アボガドロの分子説
アボガドロの分子説は
- それぞれの気体は、何個かの原子が結合した分子という粒子からできている。
- すべての気体は、同温・同圧のとき、同体積中には同数の分子を含む。
つまり、
こういうことですね。気体のほとんどが分子として存在しています。ぜひ化学科にきてもっと深く勉強しましょう。
原子の存在をすべて否定せずに分子の概念を導入したところがすごい所です。
まとめ
ラボアジエとプルーストによって質量保存の法則と定比例の法則が導かれたことにより、ドルトンは原子説を提唱し、それを用いて倍数比例の法則を発見した。その後、ゲーリュサックによって気体反応の法則が導かれ、ドルトンの原子説との矛盾点が生じたことから、アボガドロは分子の存在を提唱した。
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